カメラを始めて、慣れてきた頃に交換レンズを買おうと思ってメーカーのサイトを見ても何がどう違うのか分かりづらいですよね…
まずは以下の様な記事を参考に、欲しいレンズの機能からレンズ名を特定します。
なんとかレンズの名前から欲しいレンズの目星が付いて、そのレンズの詳細を見ようと思って、各製品ごとのページを開いてみると、レンズの概要は日本語の文章なので理解できるでしょうが、仕様の見方がいまいち分からないという方も多いのではないでしょうか?
せっかく高価なレンズを購入するので、しっかりと製品のことを理解してから買いたいですよね…。
そこで、今回はレンズ仕様の見方を紹介します。
画角
画角とは、どの範囲を写せるのかを表したもので、前述のレンズ名のリンクでも述べたように、焦点距離で画角が決まります。
焦点距離が短ければ短いほど広角で、逆に長ければ長いほど望遠となります。
しかし、仕様のページに書いてあるのは「焦点距離○○mm」とかではなく、読んで字の如く”画像に収まる角度”で記載されています。
ズームレンズでは○○°~△△°というような書き方がされており、短焦点レンズでは□□°というような書き方がされています。
単焦点レンズは画角が変えられないので、1つの角度が記載されており、ズームレンズでは画角が変えられるので複数の角度が記載されています。
ズームレンズの場合、焦点距離の記載の仕方が広角端~テレ端ということで、角度は大きい角度が先に記載されています。
※キャノン公式ページから拝借したとあるレンズの仕様表を参考にします。
ちなみに、「°」のあとの「’」は「分」という単位で、60進法の為、10’なら、1/6度=0.16°ということになります。
以上のことから、上記の画像に示したレンズの広角端の画角は水平(左右):117.16°、垂直(上下):95°、対角(斜め):126.08°ということになります。
これは、右方向に58.58°・左方向に58.58°、上方向に47.5°・下方向に47.5°、斜め上に63.04°・斜め下に63.04°の景色が映し出せるという意味です!
レンズ構成
レンズ構成は「群」と「枚」で示されます。
群とはレンズグループのことで、2枚以上のレンズが密着して1群を構成しています。
枚とは、レンズそのものの枚数で、1群に2枚使われて4群あるレンズがあるとすると、4群8枚という表現になります。
これに関しては数字から解像度を測ることは出来ません。それよりも構成図を見た方がわかること、推測できることが多いです。
参考ページ:レンズ構成(外部ページ)
※画像はキャノン公式サイトのとあるレンズの構成表より。
単純に言うと凸レンズは光を収束させて像を結びますが、色の波長ごとに屈折率が異なるので、収差が発生し、色が滲んだり、輪郭がぼやけたりします。それを凹レンズを使うことで、収差を小さくすることがこれまで試みられてきました。片面が凸レンズでもう片面が凹レンズになっていたり、組み合わせたりしているのはそのためです。
ちなみに、この何群何枚という数字から解像度を測ることは出来ませんが、物理的に考えて何重ものガラスを通してみる夜景に対して、1枚のガラスを通してみる夜景では、1枚の方がクリアに見えますよね?
そのような傾向はあり、単焦点レンズはシンプルな構造の為、レンズ枚数が少なく、クリアに見え、これが単焦点レンズの写りが良いと言われている理由ですし、大三元レンズが3倍程度のズームに抑えられて解像度を高くしているといわれています。
絞り羽枚数
絞り羽の枚数はボケの綺麗さ、光芒の出方に影響します。
絞り羽の枚数が多ければ多いほどボケは綺麗に出ます。
光芒の出方に関しては、以下の記事をご確認ください。
最短撮影距離
最短撮影距離とは、被写体からイメージセンサーまでの距離のことを言います。
レンズ仕様表の最短撮影距離が短ければ短いほど、被写体に近づいて撮影することができるということです。
最短撮影距離以内に近づくと、フォーカスが合わずに、AFの場合はシャッターが切れません。
フォーカスリングを回すと、m(メートル)表示とft(フィート)表示で表示されるものもあります。
ちなみに、レンズの先端から被写体までの距離のことをワーキングディスタンスと言いますので、最短撮影距離と似た意味の言葉ですが、違いがありますので、ご注意ください。
最大撮影倍率
最大撮影倍率とは、「最短撮影距離で撮影した場合に、被写体をいかに大きく切り取れるか」を表す指標です。「最短撮影距離で撮影した場合」というのが肝になります!
特にマクロレンズでこの指標は重要視され、最大撮影倍率が1倍に近いほど、ダイナミックに被写体を切り取れるのです。
少しわかりづらいかもしれませんが、例えるなら、地面に置いた定規に対して、最短撮影距離にイメージセンサーを置いて固定したと考えてください。
その場合、イメージセンサーに反射して写っている部分が5㎝を中心に2.5㎝~7.5㎝の5㎝分だとします。レンズを介してもこの通りに撮影されれば、そのレンズの最大撮影倍率は1倍(1:1)と言ことになります。
しかし、もしもレンズを介することで、定規が5㎝を中心に、0㎝~10㎝の範囲が写されたなら、本来イメージセンサーが切り取れる5㎝の定規に対して10㎝と倍の範囲が写されて、その分被写体は小さく映ってしまいます。この場合、このレンズの最大撮影倍率は5÷10の0.5倍(1:2)ということになります。
フィルター径
レンズキャップやフィルターを付ける部分の直径を表しています。
通常㎜で表示され、そのレンズのキャップや、NDフィルター、PLフィルター、保護フィルターはこの数字のサイズのものを購入することで、使用できます。
上記図のレンズ指標の場合、超広角レンズのため、レンズが球体になっており、フィルターはつけられません。そのため、「後部挟み込み式」となっており、マウントにフィルターが取り付けれらるようになっています。
最大径×長さ、質量
レンズ自体の大きさ、重さを表す指標です。
最大径とは、フィルター系とは異なり、レンズそのものの外径を表し、長さはマウントの最後部から、レンズ先端までを表し、いちばん外側のサイズを表しています。
質量はそのままレンズの重さを表します。
MTF特性
MTF特性とは、Modulation Transfer Functionの略で、そのレンズが結ぶイメージサークルの特徴として、センサーの中心からの距離が遠くなるにつれて、コントラストや解像度がどの程度低下するのかを表すグラフです。
※またまたキャノン公式サイトから上記の仕様表等と同じレンズのMTF曲線を拝借
左側のグラフは焦点距離11㎜時のもので、右側が24㎜時のものです。
縦軸の0~1.0までの値がコントラストと解像度の表現力を表しており、1.0に近いほど能力が高いです。
横軸はセンサーの中心からの距離を示します。基本的に右下がりなので、センサーの中心から遠くに行けば行くほど(切り取った画像の端の方ほど)コントラストと解像度が低下するということです。
コントラストを表す線が10本/㎜で、解像度を表す線が30本/㎜です。
放射方向(実線)がセンサーの中心から角までの数値を示しており、同心円方向(破線)がセンサーの中心からコンパスで次第に円を大きくしていった状態のそれぞれの線上の値を示しています。
図にすると、放射方向が赤い直線の部分で、同心円方向が黒い円の各点を繋いだものということになります。
ちなみに、フルサイズ機では36㎜×24㎜で、対角線は約43㎜ですので、センサーの中心からは横方向に18㎜、縦方向に12㎜、対角方向に21.5㎜になりますので、MTF特性図の横軸は20㎜ちょっとが最大値となっています。
また、APS-Cにフルサイズレンズを装着した場合、約23㎜×約15㎜で、対角線は約27.5㎜なので、センサーの中心からは12.5㎜、7.5㎜、対角方向に約18.8㎜なので、それより遠い部分は無視できます。これが、APS-C機にフルサイズレンズをつければ画質が上がると言われる所以です。
まとめ
レンズカタログを見ていてもわかりづらい仕様の部分の用語を解説しました。
せっかく高価なレンズを買うのだから、しっかりと把握して購入したいですよね!
用語を簡単におさらいしておきます。
【画角】
そのレンズが切り取れる範囲。左右方向、上下方向、対角方向にそれぞれ角度が記載されている。 【レンズ構成】 群と枚で表される。群はレンズの集まりの数で、枚はレンズそのものの枚数を表す。 【絞り羽枚数】 ボケのきれいさ、光芒の出方に影響します。 【最短撮影距離】 被写体に近づける距離を表しており、被写体からセンサーまでの距離の最短距離を表している。ちなみに、レンズの先端から被写体までの距離はワーキングディスタンスと言い、別物です。 【最大撮影倍率】 被写体の大きさをそのまま切り取れるかどうかという値であり、マクロレンズの場合、1に近いほうがよりダイナミックな写真になる。 【フィルター径】 レンズキャップや各種フィルターの適合する直径を表している。 【MTF特性】 イメージセンサーの中心から離れると、どの程度コントラスト表現と解像度が劣化するのかを示している。 |
それでは、他のページも見ていただいて、一緒に写真のある生活を楽しみましょう♪
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